シンガポールが「超高齢社会」に―人口統計から考える外国人と永住者の役割

シンガポールというと、活気あるビジネス都市や、世界各国から人材が集まる国というイメージがあるかもしれません。しかし、その一方で、日本と同じように少子高齢化が進んでいます。
2026年9月25日に発表された「Population in Brief 2026」では、シンガポール国民に占める65歳以上の割合が21.4%に達しました。約5人に1人が65歳以上という計算になります。現地メディアのCNAも、シンガポールが「超高齢社会」に入ったと報じています。なお、この21.4%は、外国人や永住者を含む総人口ではなく、シンガポール国民を対象とした数字です。
一方、総人口は2026年6月時点で前年比1.6%増の約621万人となり、過去最高を更新しました。人口が増えているのに、なぜ少子高齢化への対応が必要なのでしょうか。人口の内訳と、政府が示した今後5年間の永住者受け入れ方針から、その背景を見ていきます。
総人口約621万人の内訳
シンガポールの人口統計は、「国民」「永住者」「永住者以外の外国人」の3つに分けると理解しやすくなります。
PRはPermanent Residentの略で、永住権を持つ人のことです。外国籍のままシンガポールに永住する資格を持つ人を指します。外国人には、就労者だけでなく家族や学生も含まれます。観光客などの短期滞在者は含まれません。(2026年6月末時点)

| 区分 | 人数 | 総人口に占める割合 |
| シンガポール国民 | 約368.5万人 | 約59.4% |
| 永住者 PR | 約54.7万人 | 約8.8% |
| 外国人 永住者を除く | 約197.7万人 | 約31.8% |
| 合計 | 約620.9万人 | 100% |
外国人約198万人にはどのような人が含まれるのか
外国人と聞くと駐在員や専門職を思い浮かべるかもしれませんが、建設現場やサービス業で働く人、共働き家庭を支える家事労働者(ヘルパー・メイド)、帯同家族や留学生なども含まれます。次の割合は、永住者を除く外国人約198万人の中での構成比です。

| 滞在資格など | 主な対象 | 割合 | 人数の目安 |
| WP 建設 造船 プラント | これらの産業で働く就労許可保持者 | 24% | 約47.4万人 |
| WP その他の産業 | サービス業や製造業などの就労許可保持者 | 21% | 約41.5万人 |
| 家事労働者 | 家庭で家事や育児などに従事する人 | 16% | 約31.6万人 |
| DP LTVP | 帯同家族などの滞在資格を持つ人 | 15% | 約29.7万人 |
| EP | 専門職 管理職など向けの就労ビザ保持者 | 10% | 約19.8万人 |
| S Pass | 中級技能職向けの就労ビザ保持者 | 9% | 約17.8万人 |
| Student’s Pass | 学生向けの滞在資格を持つ人 | 5% | 約9.9万人 |
WPはWork Permit(就労許可)、EPはEmployment Pass、DPはDependant’s Pass(家族帯同パス)、LTVPはLong-Term Visit Pass(長期滞在パス)の略です。
今回の人口増加を主に支えたのは、永住者以外の外国人の増加です。特に、チャンギ空港第5ターミナルやマリーナベイ・サンズの拡張、住宅建設などの大型工事を背景に、建設分野の就労許可保持者が増えています。
人口が増えていても、少子高齢化は進んでいる
外国人の流入によって総人口が増えていても、国民の高齢化や出生数の減少という課題は残ります。
国民に占める65歳以上の割合は、2016年の13.7%から、2026年には21.4%へ上昇しました。2035年には、国民の4人に1人以上が65歳以上になると見込まれています。
少子化も進んでいます。国民と永住者を対象とする合計特殊出生率は、2024年の0.97から2025年には0.87へ低下し、過去最低となりました。
子どもが少なくなれば、将来、働く世代も少なくなります。一方で、高齢者を支える医療や介護などの需要は増えていきます。政府は、こうした変化が経済だけでなく、家族の支え合いや社会保障にも影響すると説明しています。
今後5年間は年間約4万人に永住権を付与する見込み
こうした状況を背景に、ガン・キムヨン副首相は2026年2月26日の国会演説で、今後5年間、年間約4万人に永住権を付与する見込みを示しました。2025年に永住権を取得した人は35,352人でしたので、これを上回る人数を見込んでいることになります。
政府は、結婚や子育てを支援するとともに、移民の受け入れを慎重に管理しながら、将来の国民人口を支える方針です。永住権は、国籍取得に向けた道筋としても位置付けられています。
なお、年間約4万人という数字は、『新たに永住権を取得する人数の見込み』です。PR人口全体が毎年4万人ずつ増えるという意味ではありません。永住者からシンガポール国民になる人などもいるため、新規取得者数とPR人口全体の増減は分けて見る必要があります。
実際の受け入れ人数は、出生率などの人口動向、申請者の適性、インフラや社会の受け入れ能力に応じて調整されます。
永住権の申請を考えている方へ
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受け入れ人数の見込みが増えても、個々の申請が承認されやすくなるとは限りません。政府は、経済的な貢献や学歴、年齢に加え、家族構成、居住期間、地域社会への定着なども考慮すると説明しています。
PR申請をご検討の際は、ご自身の仕事や家族の状況、シンガポールでの生活を整理し、提出資料で正確に伝えることが大切です。
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参考資料
[1]NPTD Population in Brief 2026
https://www.population.gov.sg/our-population/population-trends/overall-population/
[2]NPTD Longevity
https://www.population.gov.sg/our-population/population-trends/longevity/
[3]ガン副首相の2026年2月26日国会演説
https://www.population.gov.sg/media-centre/speech-by-deputy-prime-minister-gan-kim-yong-committee-of-supply-debate-2026/
[4]NPTD People and Society
https://www.population.gov.sg/our-population/population-trends/people-and-society/
[参考]JETRO 2026年9月29日 ビジネス短信
https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/09/d4a4e39d33bcc698.html

