ONE Pass保有者が8,500人に。最新データから見るシンガポールの高度人材戦略

ONE Pass保有者、制度開始から2倍以上に

2026年8月、シンガポール人材開発省(MOM)が明らかにしたデータによると、ONE Pass(Overseas Networks & Expertise Pass)の保有者数は、2025年12月時点で約8,500人となりました。

ONE Passが導入されたのは2023年です。

保有者数は、

2023年末:約3,600人
2024年末:約6,300人
2025年末:約8,500人

と推移しており、制度開始からわずか数年で2倍以上に増えています

ONE Passの制度や申請要件については、以前のコラム
「シンガポール ONE Passとは?AI・IT分野でも注目される高度人材向けビザ」
で詳しくご紹介しています。

今回は、この「8,500人」という最新の数字から、ONE Passがシンガポールの外国人材政策の中でどのような役割を担いつつあるのかを見てみたいと思います。

ONE Pass保有者の約7割が3つの分野で活躍

今回公表されたデータでもう一つ興味深いのが、ONE Pass保有者の約7割が、以下の3つの分野で働いているという点です。

・金融・保険サービス
・情報通信
・専門サービス

これらは、専門知識だけではなく、海外での経験や国際的なネットワークが大きな価値につながりやすい分野でもあります。

ONE Passの正式名称は、

Overseas Networks & Expertise Pass

です。

「Networks」は人的ネットワークやつながり、
「Expertise」は専門知識・技能、専門性を意味します。

その名称からも分かるように、ONE Passは単に高い給与を得ている人を対象とした制度ではなく、シンガポール国外で培ったExpertise(専門性)とNetworks(ネットワーク)を持つ人材を呼び込むことを目的とした制度です。

ONE Pass保有者の約7割が金融・保険、情報通信、専門サービスの3分野に集中しているという数字からも、こうした制度の特徴が実際の保有者の構成に表れていることがうかがえます。

EPが減少する一方、ONE Passは大きく増加

さらに注目したいのが、Employment Pass(EP)との動きの違いです。

MOMのデータによると、EP保有者数は、

2023年末:約205,400人
2025年末:約203,300人

となっており、2年間で約2,100人、割合にすると約1%減少しています。

その一方で、ONE Pass保有者は同じ期間に、

約3,600人 → 約8,500人

EP保有者数がほぼ横ばいで推移する中、ONE Pass保有者数は2年間で2倍以上に増えたことになります。

もちろん、EPとONE Passでは対象者も制度の目的も異なるため、この数字だけを単純に比較することはできません。

ただ、シンガポール政府が外国人材の「人数」を増やすことだけではなく、シンガポールの今後の成長に必要となる高度な専門性や経験を持つ人材の獲得を重視していることは、近年の政策からも見て取れます。

MOMは2026年3月、ONE Passについて、制度開始以来、順調に利用が広がっていると評価しており、ONE Pass保有者がAI、量子技術、バイオメディカルなど、シンガポールの将来に重要な分野で貢献していることを紹介しています。

「保有者が増えた」=「取得しやすくなった」ではない

ここで注意しておきたいのは、ONE Passの保有者数が増えているからといって、取得しやすくなったという意味ではないということです。

ONE Passには、原則として月額固定給与SGD30,000以上という高い給与基準があり、これとは別に、一定の分野で卓越した実績を持つ人材を対象とした申請ルートも設けられています。

つまり、「ONE Passの利用が広がっていること」と「審査のハードルが下がっていること」は、分けて考える必要があります。

むしろ制度の認知度が高まり、申請を検討する方が増える中で、ご自身がONE Passの対象となる可能性があるのかを適切に確認することが、より重要になっていると言えるかもしれません。

2027年には「ONE Pass(AI and Tech)」もスタート

ONE Passをめぐる動きは、今後も続きます。

MOMは、2027年1月から新たに「ONE Pass(AI and Tech)」を導入する予定です。

現在のTech.Passに代わる制度として設けられ、AIや量子コンピューティングなど、シンガポールが重点分野と位置付けるテクノロジー領域のトップ人材をさらに呼び込むことを目的としています。

2023年に始まったONE Passが、一時的な制度というよりも、シンガポールの高度人材戦略の中で少しずつ役割を広げていることがうかがえます。

8,500人という数字から見えてくるもの

2023年末に約3,600人だったONE Pass保有者は、2025年末には約8,500人となり、2倍以上増加しました。同じ期間、EP保有者数がほぼ横ばいだったことを考えると、ONE Passの伸びは目立ちます。

また、保有者の約7割が金融・保険サービス、情報通信、専門サービスの3分野で働いていることからも、シンガポールが専門性や国際的な経験、ネットワークを持つ人材を重視していることがうかがえます。まさに、Overseas Networks & Expertise Passという名称が示す方向性が、数字にも表れてきたと言えそうです。

2027年にはONE Pass(AI and Tech)の導入も予定されており、ONE Passは今後もシンガポールの高度人材戦略の中で重要な役割を担っていくと考えられます。

ONE Passについてご相談をご希望の方へ

SG Visa Globalでは、これまでにONE Pass申請をサポートし、承認された実績がございます。

ONE Passは、ご経歴や収入、活動分野などによって申請条件や確認すべきポイントが異なります。

ご自身がONE Passの対象となる可能性があるか確認されたい方は、お気軽にご相談ください。

ONE Passの制度・申請要件についてはこちら
ONE Pass申請についてのお問い合わせはこちら