2027年からEP最低給与引き上げへ

シンガポール就労ビザの最新動向
2026年のBudget発表にて、シンガポール政府はEmployment Pass(EP)の最低給与基準を再度引き上げる方針を発表しました。
近年のシンガポールでは、
- COMPASS導入
- 最終学歴認証の厳格化
- EP最低給与の段階的引き上げ
など、外国人就労制度の見直しが継続的に行われています。
シンガポールでの就労や駐在を検討されている方にとって、今後かなり重要な変更になる可能性があります。
今回は、最近発表されたEP制度変更の内容と、実務上感じる変化についてまとめます。
2027年からEP最低給与が引き上げ予定
シンガポール政府(MOM)の発表によると、Employment Pass(EP)の最低給与基準は以下のように変更される予定です。
一般業種
- 現在:S$5,600
- 2027年1月1日から:S$6,000
金融業界
- 現在:S$6,200
- 2027年1月1日から:S$6,600
なお、これらはあくまで「最低ライン」であり、年齢や経験によって求められる給与水準はさらに高くなります。
また、今回の変更は、
- 新規EP申請:2027年1月1日から
- EP更新:2028年1月1日から
適用予定とされています。
つまり、現在EPを保有している場合でも、今後の更新時に影響を受ける可能性があります。
過去10年超で大きく上昇しているEP基準
近年、EPの最低給与基準は段階的に引き上げられてきました。
| 適用開始 | EP最低給与(一般業種) |
|---|---|
| 2014年1月 | S$3,300 |
| 2017年1月 | S$3,600 |
| 2020年5月 | S$3,900 |
| 2020年9月 | S$4,500 |
| 2025年1月 | S$5,600 |
| 2027年1月予定 | S$6,000 |
2014年と比較すると、2027年適用予定の最低給与額は約80%以上の上昇となります。
数年前は比較的通っていたケースでも、現在はより慎重な設計が必要になる場面が増えている印象があります。
「最低給与を超えればEP取得できる」とは限らない
現在のEP審査では、単純に最低給与を満たすだけではなく、「COMPASS(ポイント制審査)」も重要になっています。
現在のEP審査では、
① 最低給与基準(Stage 1)に加えて、
② COMPASS(ポイント制審査)
の両方をクリアする必要があります。
COMPASSでは、
- 給与
- 学歴
- 国籍多様性
- ローカル雇用状況
などが総合的に評価されます。
そのため、「最低給与を超えている=EP取得できる」というわけではありません。
また、COMPASS内でも給与水準は評価対象となっており、年齢や業界別のローカルPMET給与と比較されます。
※PMETとは、Professionals, Managers, Executives and Technicians の略で、専門職・管理職・技術職層を指します。
COMPASSについては、以前こちらの記事でもご紹介しております。
なぜシンガポール政府は引き上げを続けるのか
EP最低給与引き上げの背景には、ローカルPMET給与水準の上昇 があると考えられます。
実際、MOMも過去の発表の中で、「EP基準をローカルPMET給与水準に合わせる」という方向性を示しています。
つまり、外国人向けEPについても、ローカル専門職の給与水準と比較しながら調整していく考え方が強くなっています。
また、その背景には、シンガポール政府が近年、ローカル人材とのバランスをより重視している流れもあるように感じます。
単純に外国人材を増やすというより、“量”より“質” を重視する方向へ進んでいます。
今後どのような影響がある?
今回の引き上げにより、EP申請ではこれまで以上に「給与額の妥当性」が重要になります。
特に注意したいのは、EPの最低給与額はあくまで入口条件であり、それを超えていれば必ず承認されるというものではない点です。実際には、年齢、職種、業界、企業規模、COMPASSのスコアなども含めて総合的に判断されます。
また、企業側にとっても、単に候補者の給与を上げればよいという話ではありません。COMPASSでは、ローカル雇用や国籍の多様性など、企業全体の雇用状況も見られます。そのため、今後はEP申請を「個人のビザ申請」としてだけでなく、会社の採用・人事戦略の一部として考える必要が出てくると思われます。
また、シンガポールの就労ビザ制度は、ここ数年でかなり変化して、確認事項も増えています。
そのため、現在シンガポール就労やEP申請をご検討されている場合は、最新制度を前提に確認されることをおすすめします。
弊社では、EP申請・更新、COMPASSについてのご相談も承っております。

